28になった。もはや青春と呼べる時期は過ぎてしまったが、思えば青春とはいやな時代だった。青春(10代後半〜20代半ば)は執行猶予期間として与えられていて、楽しむだけ楽しんで悩むだけ悩んだあとはいずれ私たちの側に来るんだぞ、という豚みたいな大人の了解が潜んでいたことも知らずに、時間だけを消費してしまった気がする。学生時代は教師に、就職してからは会社に利用された。ひどい無力感を覚えるが、不思議と自分が無能だとは思わない。無能である自分、何もできない自分を許してしまうと、そのあとは奴隷として楽に生きられる。そして、何より最低なのは奴隷よりも、自分が奴隷だと気付かずに日本経済新聞を読んでいるやつらだ。電車なんかに乗ってチョロチョロせず、部屋で座っていればいいと思う。この沼から抜け出すには特権的な危機感が必要だろう。だが、この特権的な危機感を見出すことはとても難しい。