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小沢健二ライヴ「ひふみよ」@NHKホール。正直、会場の盛り上がりについて行けず。指定席なのに全員立ち上がって揺れまくって、隣りの30前後の男のポロシャツが生乾きの悪臭を放っていて、それを嗅ぎ続けるタフな3時間。こりゃたまらん、と30分過ぎたあたりから口呼吸してたから、終盤には喉カラカラ。かわいい女の子の髪の香りだったらどんなに楽しい時間だったことか。スチャダラも乱入したし。
3つの新曲はどれも良し。小沢健二は音楽家というより詩人で、曲間のポエトリー・リーディングが実はいま彼が本当にやりたいことなんじゃないか。昔の曲なんてやりたくないんじゃないか。同じ阿呆なら踊らにゃソンなのはわかっているが、そんなことをずーっと考えていた。いや、良かったんだけどね。一緒に行った先輩は「宗教っぽい」とか言ってたけど。夢中になってる人を冷静な眼で見たらそう感じるんだけど、まあそこが愛しいっていうね。端的に、オレはみんなが羨ましかった。でもみんな期待しすぎ。騒ぎすぎ。そんな態度は本人にもプラスにならない。やりたいことをやればいいし、やらせなきゃいけない。毎日会社行ってる人間には絶対にわからない場所にいるんだし。
という複雑なライヴだったんだけど、とはいえ名曲は多い。そんな中から、極私的小沢健二ベスト10を捏造する。基本的に全アルバム必携だが、アルバム未収録曲も多い。でも全曲「手軽に」youtubeで聴ける。21世紀はそんな、誰も真剣に音楽なんか聴かない時代です。想像できましたか小沢さん!あなたの「祈り」とはまず眼を閉じて耳を澄ますことだったはずです。周りを見渡してもあなたの言った「闇」が何処にも見つかりません。でも、もう昔には戻れないんです。ここに挙げた10曲、特に1年間かけて書いたという「ぼくらが旅に出る理由」は本当に素晴らしい詩で溢れています。でもその魔法が消えようとしています。
【小沢健二・ベスト10】
- ある光(Full Length Ver.)
- ぼくらが旅に出る理由(From 『LIFE』)
- 天使たちのシーン(From 『犬は吠えるがキャラバンは進む』)
- ギターを弾く女(From 『Eclectic』)
- 戦場のボーイズ・ライフ
- ブルーの構図のブルース(From 『球体の奏でる音楽』)
- 今夜はブギーバック/あの大きな心(From 『Eclectic』)
- 愛し愛されて生きるのさ(From 『LIFE』)
- 春にして君を想う
- 夜と日時計