村上龍がNYタイムスに寄稿したエッセイで、政権交代を果たした日本について「私たちはただ、子供が大人になっていくときの憂鬱さを経験しているだけなのだ」と書いている。
 民主党政権になったからといって、税収が劇的に増えるわけではない。その場合、政策は基本的にゼロサムなので、あちらに道路を建設すればこちらの病院の財政危機は解消しない。甘やかされた子供のようにすべてを欲しがるのではなく、多くのあきらめを経験する直前の憂鬱がいまの日本を蔓延している。万人が幸福になどなれないのだから。という主旨のエッセイだが、「憂鬱」という比喩は違うと思う。一部で波紋を呼んでいる。