何年ぶりかに読んだタニザキの短編が滅法おもしろくて、しばらくはムラカミと並行して読んでみる。参考として彼の作品年譜を作ってみた。日本最高の小説家は、日本で最も面白い小説を一番多く書いた小説家と同義である。天才とはすなわち量である。この他に戯曲や演劇のシナリオや随筆も多数あって、24歳から79歳で死ぬまでに小説を発表しない年はほとんどない。

  • 1910 「The Affair of Two Watches」「刺青」「麒麟
  • 1911 「彷徨」「少年」「幇間」「飈風」「秘密」
  • 1912 「悪魔」「あくび」「朱雀日記」「羹」
  • 1913 「続悪魔」「恐怖」「少年の記憶」「熱風に吹かれて」
  • 1914 「捨てられる迄」「憎念」「春の海辺」「饒太郎」「金色の死」
  • 1915 「お艶殺し」「懺悔話」「創造」「華魁」「法成寺物語」「お才と巳之介」「独探」
  • 1916 「神童」「鬼の面」「亡友」「美男」「病蓐の幻想」
  • 1917 「人魚の嘆き」「魔術師」「既婚者と離婚者」「玄奘三蔵」「詩人のわかれ」「異端者の悲しみ」「晩春日記」「女人神聖」「ハッサン・カンの妖術」「ラホールより」
  • 1918 「仮装会の後」「襤褸の光」「兄弟」「少年の脅迫」「前科者」「人面疽」「二人の稚児」「金と銀」「白昼鬼語」「人間が猿になった話」「小さな王国」「敵討」「嘆きの門」「魚の李太白」「柳湯の事件」
  • 1919 「美食倶楽部」「母を恋ふる記」「蘇州紀行」「泰淮の夜」「呪はれた戯曲」「西湖の月」「富美子の足」「真夏の夜の恋」「或る少年の怯れ」「或る漂泊者の俤」「秋風」「天鵞絨の夢」
  • 1920 「鮫人」「途上」「検閲官」
  • 1921 「不幸な母の話」「私」「鶴涙」「AとBの話」「盧山日記」「生れた家」「或る調書の一節」
  • 1922 「或る罪の動機」「奇怪な記録」「青い花」「或る顔の印象」
  • 1923 「アヱ゛・マリア」「神と人との間」「肉塊」「港の人々」
  • 1924 「痴人の愛
  • 1925 「蘿洞先生」「二月堂の夕」「赤い屋根」「馬の糞」
  • 1926 「友田と松永の話」「為介の話」「一と房の髪」「上海見聞録」「上海交游記」「青塚氏の話」
  • 1927 「日本におけるクリツプン事件」「ドリス」「顕現」
  • 1928 「卍」「黒白」「続蘿洞先生」「蓼喰ふ蟲」
  • 1929 「三人法師」
  • 1930 「亂菊物語」
  • 1931 「吉野葛」「盲目物語」「紀伊国狐憑漆掻語」「覚海上人天狗になる事」「武州公秘話」
  • 1932 「青春物語」「蘆刈
  • 1933 「春琴抄」「韮崎氏の口よりシユパイヘル・シユタインが飛び出す話」
  • 1934 「夏菊」
  • 1935 「聞書抄」
  • 1936 「猫と庄造と二人のをんな」
  • 1939 「潤一郎訳源氏物語
  • 1942 「初昔」「きのふけふ」
  • 1943 「細雪 上巻」
  • 1946 「磯田多佳女のこと」「疎開日記」「同窓の人々」
  • 1947 「『潺湲亭』のことその他」「細雪 中巻」「細雪 下巻」「飛行機雲」
  • 1948 「越冬記」
  • 1949 「月と狂言師」「京洛その折々」「少将滋幹の母
  • 1950 「A夫人の手紙」「『蘆刈』など」「少年の頃」
  • 1951 「乳野物語」「小野篁妹に恋する事」「潤一郎新訳源氏物語」「忘れ得ぬ日の記録」
  • 1952 「吉井勇君に」「或る時」
  • 1954 「上山草人のこと」
  • 1955 「幼少時代」「過酸化マンガン水の夢」
  • 1956 「鍵」「鴨東綺譚」
  • 1957 「老後の春」「親不孝の思ひ出」
  • 1958 「残虐記」「四月の日記」
  • 1959 「高血壓症の思ひ出」「夢の浮橋
  • 1960 「おふくろ、お關、春の雪」「三つの場合」
  • 1961 「親父の話」「當世鹿もどき」「瘋癲老人日記」
  • 1962 「四季」「台所太平記
  • 1963 「雪後庵夜話」「京羽二重」
  • 1964 「おしゃべり」「新々訳源氏物語
  • 1965 「七十九歳の春」