1月31日までは正月なのだから、いっそ縁起担ぎに開席150年の歴史ある「鈴本演芸場」で寄席見学。漫才あり手品あり紙切りあり、そしてもちろん落語ありの3時間。寒空の下、上野界隈を徘徊する路上のブルースメンに囲まれながら2時間待った甲斐もあって江戸屋猫八のものまね、林家たい平三遊亭金馬柳家権太楼の落語とどれも面白かったが、主任(寄席のトリをこう呼ぶ)の柳家小三治の落語はそれまでの全てを吹き飛ばす程の名人芸だった。
 「面白い」とは単に笑いを誘うだけではない。名人芸にはそれよりも重要なサムシングがあったのだが、そのサムシングとは何ぞやと訊かれても困るので、実際に最前列で体験すべし。