ほんの数日前のことだが、エリック・ロメールが亡くなった。89歳。ひょっとすると彼だけが死なずに映画を撮り続けるんじゃないかと思っていたが、大往生とはいえやはり淋しい。
 訃報を耳にする度に、どんなに素晴らしい作品を残した人もいずれ死ぬ、という余りに身も蓋もない事実を「思い出す」。なんて言っていると中島義道みたいで嫌な心持ちになるが、致し方なし。もちろん、ゴダールオリヴェイライーストウッドも数年後には死ぬ。問題は残された作品を観て、何を考えどう行動するかだ。モグラのようにDVDを買い込んでも無意味だ。遺作として発表した2007年の『我が至上の愛アストレとセラドン〜』は不勉強ながら未見。