[,w200,h200]
 【1969年〜1979年編 第8位】asin:B00004WGEL
 赤裸々過ぎて痛い。あまりに私小説的だし、ソロ期のジョンにとって音楽は専ら「内面を吐露するツール」となってはいまいか。だとしたら音楽家というより詩人、いや詩人以下である。表参道で色紙に書いた「詩」を売ってる人間とさして変わりない。
 とはいえ、希代のメロディ・メイカーであり、史上最高のロックンロール・ヴォーカリストとしてのシャウトが聴く者の魂を揺さぶる。「Mother」は「吾亦紅」から数億光年隔てた場所にある。ここから「God」や「Love」が生まれた。心の名曲「Hold On」と「Isolation」も収録されている。彼のソロ期のエッセンスがこの1stで出尽くしているが、1人の女性によってすべてを変えたある男のルポルタージュにしてはあまりに過剰だ。きみはこの過剰さに耐えられるか。オレは耐えられない。耐えられないが、後世に受け継がれる音楽とは、時として耳を覆いたくなるようなものだったりする。