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 ケビン・コスナーショーン・コネリーロバート・デ・ニーロ。豪華キャストを集めて商業主義に寄り添いながら己の欲望を着々と果たしていく、というデ・パルマのスタイルは『ミッション・インポッシブル』で完成しているが、これはその習作と言える。スピルバーグの『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』が今作から着想を得ているのではないか(ショーン・コネリーの父性、4人組、馬など)。
 デ・パルマ的作品を知っていれば、ここでの長回しの完成度が高くないことがわかる。語りの雑さは許そう。乳母車を出すために、ケビン・コスナーに子供を作らせるという安直さも許そう。まるで頭から地面に落ちるためにヒッチコック的階段を駆け上がるという過去何度も繰り返した『めまい』も許す。だが、誰もが「ヒッチコックヒッチコックと来て、最後にエイゼンシュテインかよ!」と力が抜ける作品。物語の主題はアル・カポネの起訴で、副題は仲間との絆。本音は主題=エイゼンシュテインの乳母車、副題=屋上からの垂直落下 or POVの長回し、というデ・パルマはやっぱ変質者。