• 『無趣味のすすめ』(2009/村上龍

 今月入ってから仕事以外のやることがたくさんあって、なんだか楽しい。「仕事以外のやること」といってももちろん「趣味」ではない。趣味なんかに没頭していたら一瞬でジジイになってしまう。そんなもん、犬にでも食わせろ。
 しばらくはプラグマティックにいきます宣言。

 現在まわりに溢れている「趣味」は、必ずその人が属す共同体の内部にあり、洗練されていて、極めて安全なものだ。考え方や生き方をリアルに考え直し、ときには変えてしまうというようなものではない。だから趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失望や絶望と隣り合わせに存在している。

無趣味のすすめ

無趣味のすすめ