• 『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(2009/シド・フィールド)

 脚本術についての書かれていて、そんな体裁はとってないが、所謂「ハウツー本」と言える。参考になる部分は多く、普段映画を観ているときに、たしかにそのシークエンスが重要なのだが、なぜ重要かと問われると困ることが多々あるが、それを「プロットポイント」と名付けられると、ああそうか、と頷いてしまう。多くの映画では、30分地点と90分地点にあるこの「プロットポイント」、先日観た『グロリア』で言えば、間違いなくグロリアがギャングに発砲して車を横転させるシーンと、地下鉄内での逃走シーンだろう。つまり、「ストーリー」を前に進めるシークエンスだ。
 このように、映画のパラダイム(構造)についての記述が最も勉強になった。あとは実際の映画(たとえば『チャイナタウン』)を元に分析される。著者がアリストテレスだのニュートンだのジョイスだの、偉い人たちの偉そうな台詞をいちいち引用してインテリぶっているのが若干気に食わない。そして、やはり映画を書くためにしなくてはならないことは脚本術を学ぶことではなく、映画を注意深く観続けること。これしかない。

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術