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- 『失踪者』(1927/フランツ・カフカ)
カフカの任意の1ページの数行ですら、『KAGEROU』よりも面白いという現実。かつて『アメリカ』と題されていて、いまでは『失踪者』という元のタイトルに戻って刊行されている、カフカ未完の長編だ(カフカの長編はすべて未完だが)。ただ、『KAGEROU』のつまらなさを言い当てるのが難しいように、カフカの面白さをどう伝えればよいのか。困っている。
ただ一つ言えるのは、アイディアさえあれば小説が書ける。書きたいことがあれば小説が書ける。伝えたいことがあれば小説が書けて誰かに伝わる。そんな素朴かつ楽天的な思考では「小説」は書けないということ。これは技術の問題ではない。物語はすべて19世紀中に書き尽くされている、それじゃあオレたちに何ができるか?っていう諦め混じりのヤケクソ。ジョイスだってカフカだってみんなそこからやってるんだ。
- 作者: カフカ,池内紀
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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