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 @早稲田松竹。原題は『a one and a two...』で、邦題だと『菊次郎の夏』みたいな映画だと勘違いするが、誰が主役というわけでもない。ある家族とその周辺の人々を描いた群像劇である。なんという映画、騒々しい映画、バカバカしい映画、途方もない映画である。親と子の恋愛がパラレルで描かれるシーンなんかは思わず泣きそうになってしまった。エレベーターは『恋愛時代』以来、とても効果的に使われている。
 原題からゴダールを意識してしまうが、ラスト近くにティンティンが目覚めると一輪の花を持っている、という美しい挿話はやはり『映画史』のラストを思い出させる。イッセー尾形も名演。堂々たる遺作だった。178分に耐えられる腰力がある猛者は今週中に駆けつけよ。