• 『おじいさんは山へ金儲けに』(2001/村上龍

 残酷な投資入門書『おじいさんは山へ金儲けに』の副題は「時として、投資は希望を生む」とある。村上龍がいつから希望、希望と言い出したかの正確な日時は不明だが、おそらくJMMを始めた頃だろうと思う。その前は欲望、欲望、あるいは快楽、快楽だった。本書の内容は、高校3年生レベルの経済知識で充分理解できる。具体的な投資「戦略」を学びたいならば木村剛の本でも読めばいい。

 投資について学ぶということは、資産運用・金儲けだけに有用なわけではない。自分自身の資質や資源、現在と将来の価値の比較、ものごとの優先順位、リスクやコストや利益という重要な概念について考えるときにきわめて有効だ。

 投資も希望も将来の不確実性に根ざしている。リスクと言ってもいい。リスクをとらなきゃ、快楽はないよ。もちろん、希望も。翻って、おまえはリスクをとって無謀とも思えるゲームを戦っているか(無名のテニス選手のように)と問われると、いまは組織の一員としてもがいております。