草食系男子必読のマンガだが、肉も草も加工食品も喰らうのが雑食系男子としての僕である。とはいえ、浅野いにおの全作品をブックオフ高田馬場店で購入したので、全て読んでみる。
 現在の喪失感や諦念から、何かのきっかけを通して自分を肯定する、あるいは希望を見出すという物語の構造は、良く言えば王道・悪く言えば完全に紋切型。田中康夫が30年前に書いたことの縮小再生産とも言えるが、少しだけぐっとくる感覚を味わえる。いやだいやだ。喪失感を売り物にするのは、落ちぶれた芸能人だけで充分だ。「喪失感」や「淋しさ」があちこちに溢れている。それを売り物にするのは、売れるからだが、そんなものは最低だと言いたい。失ったものは必死に捜さなくてはいけない。別の何かでもいい。そういう人間を描くべきだ。「女子高生・校舎の屋上・初チュー」の無敵の三段攻撃にどう抗うか。いかにして反骨タイガースに入団するか。

世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

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