アンビエント・ミュージックを真剣に聴きはじめたのがいつだったか正確な時期は覚えていないが、おそらく時東あみの「あ」がちっちゃくなった頃だと思う。
 CISCO閉店という歴史的瞬間に共に駆けつけた三田格編集の『アンビエント・ミュージック 1969〜2009』は、おそらく海の物とも山の物とも知れないアンビエント・ミュージックに形を与えた歴史的書物であり、これからアンビエントを聴いてみようという奇特な人にとって最良の「使える」ディスクガイドとなっている。難点を言えば、装丁に凝ったり、帯に細野晴臣の推薦文を載せたり、アレックス・パタースンのインタビューは取れても、決定的仕事をしたブライアン・イーノのインタビューは取れない、という日本の文化的鎖国を露呈しているところ。単に、編者の怠慢だろうけど。

アンビエント・ミュージック1969-2009(STUDIO VOICE BOOKS)

アンビエント・ミュージック1969-2009(STUDIO VOICE BOOKS)