いかに過去の名盤を踏襲(あるいは否定)してそこから自由になるかがポピュラー音楽の歴史だったはずだが、21世紀のリスナーはiTunesその他諸々のおかげか、いまや名盤自体が聴かれなくなっている。たとえ聴いていたとしても非モテ系男子である。モテ系男女はれげえとひっぷほっぷとあーるびーを聴いているらしい。そのことに嘆いているわけでもないのだが、やはり疑うべきカノンそのものを提示していくことが先決なのではないか。そして、何より音楽が食傷気味でiPodすら持たなくなった自分のために。あ、でもCDウォークマンは欲しい。
 幸いにして我が家にはディスクガイドが腐るほどあって、実際に底の方から腐りはじめている。参考資料として全ジャンルを網羅している(はずの)『ミュージック・マガジン』の40周年記念特集号3冊を使う。ノリは軽く、かつ辛口で裸の王様のように斬っていく。持ってないアルバムは最悪買う。少し暇になった自分のために。