■
- 『魅せられて─作家論集』(2005/蓮實重彦)
大きく大正期/戦後派/現代作家と区別された蓮實重彦の『魅せられてー作家論集』。このマックス・オフュルスを臆面もなく借用するセンスについては留保したいが、当然ながら内容は充実している。唯一の書き下ろし、「書く」ことが「語る」ことを侵犯しながらいつしか凌駕してしまう、という谷崎潤一郎の『吉野葛』についての批評を再読する。以下に章題のみ列挙。その昔、いまや絶版となっている彼の『夏目漱石論』を読んでひどく影響された想い出がある。解釈は人の数だけあります。でも意味は一つしかありません。そして、その「意味」が露呈する場所はもちろん・・・
- 恩寵の時間と歴史の時間 樋口一葉の『にごりえ』
- 修辞と利廻り 『道草』論のためのノート
- 試練と快楽ー「愛」の人称的構造 『それから』の場合(以上夏目漱石)
- 接続詞の破綻 『歯車』を読む 説話論の視点から(芥川龍之介)
- 厄介な「因縁」について 『吉野葛』試論(谷崎潤一郎)
------------------------------------------------------------
- 露呈する歴史のために 『堺港攘夷始末』
- 反復と平面ー歴史小説はいかにして書かれるか 『天誅組』の場合(以上大岡昇平)
- 真実と「軽症の狂者」 『海辺の光景』(安岡章太郎)
- 『みいら採り猟奇譚』
- 「異変」と予兆 『赤い脣 黒い髪』(以上河野多恵子)
------------------------------------------------------------
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (19件) を見る