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- 『潤一郎ラビリンス(14) 女人幻想』(谷崎潤一郎)
このあたりのタニザキの「差別的」感性に深い共感を覚えてしまう。
そうさ、大概の日本人はみんな駄目さ。己はお前の言う通り十人並かも知れないけれど、大概の日本人が駄目だから従って己も駄目になるのさ。若し人生其の物を藝術化させようと試みるならば、己を始め一般の日本人は先ず貧弱な体質からして直してかからなければ無意味な話さ。よく雑誌の口絵や活動写真などに、日本人が多勢並んで写って居る光景があるだろう。ああ云う写真を見せられると、日本人程暗黒な、卑賤な、非美術的な形態を持って居る種族はないと思うね。西洋人は無論の事だが、獅子だとか羊だとか鳩だとか鷗だとか云う禽獣の類ですら、沢山集まれば其処に一種の美感を生ずるものだけれど、日本人の顔だけは集まれば集まる程醜悪の度を増すばかりなのはおかしいじゃないか。美しい自然の中から美しい藝術が生まれるとしたら、とてもわれわれ日本人などの間から立派な絵画や彫刻が生まれる筈はないような気がする。
- 創造
- 亡友
- 女人神聖
- 作者: 谷崎潤一郎,千葉俊二
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/06/18
- メディア: 文庫
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