漱石東京大学の英語教師時代に「I love you」を「我汝を愛す」と和訳した生徒を叱責した。「"月がきれいですね"とこれからは訳すように」と。漱石を考える上で貴重な逸話である。勘違いしないでほしいのだが、日本人の奥ゆかしさを説いたわけではない。倫敦留学から帰国した直後の漱石は、神のいない国での主体(Subject)の在り方を考えていたということだ。